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化学の巻↓ 理論化学(高校)

理論化学(10)大学入試対策[ヘンリーの法則、蒸気圧降下・浸透圧]

投稿日:10月 9, 2021 更新日:

・問題1 ヘンリーの法則についての問題!

(問題)気体の溶解度に関するヘンリーの法則は次の式(1)のように表すことができる。

m=kP (1) (滋賀医科大)

ここでmは一定量の溶媒に溶ける気体の質量、Pは気体の圧力、kは気体の種類と温度によって決まる定数である。

問1 式(1)は気体と溶液との間の気体分子の移動が平衡状態になっているとして導くことが出来る。式(1)の定数kは下の(i)~(iii)の文で定まる比例定数を用いるとどのように表されるか。誘導の過程とともに示せ。

(i)単位時間に気体から溶液中に飛び込んで溶け込む分子の数(N)はその気体の圧力Pに比例する。

(ii)単位時間に溶液から気体中へ飛び出していく分子の数(N)は溶液中の溶質の濃度Cに比例する。

(iii)一定量の溶媒に溶けている気体の質量mは濃度Cに比例する。

問2 ヘンリーの法則は「一定温度で一定量の溶媒に溶ける気体の体積は圧力に関係なく一定である。」とも表現できる。このことを式(1)を元に式を用いて示せ。ただし気体は理想気体とする。

問3 気体Xと気体Yからなる混合気体の水への溶解ついて下の記述が正しいかどうかを論ぜよ。ただし気体Xも気体Yもヘンリーの法則に従うものとする。

記述:同音・同圧で体積比がx:yである気体Xと気体Yの混合気体が水に溶けるとき溶けている気体Xと気体Yの質量の比はx:yである。

問4 ヘンリーの法則が成り立たない場合がある。その具体例を挙げて理由と共に答えよ。


問題2 気体の溶解度の問題!

(問題)1.0×105Paの酸素が1Lの水と接して平衡状態にあるとき10℃、30℃で酸素はそれぞれ39mL,29mLずつ溶ける。いま10℃、3.0×105Paの酸素と長く接した水溶液中1.0L中に溶けた酸素の物質量は(1)molで、溶けた酸素の体積は10℃、3.0×105Paの元では(2)mL,0℃,1.0×105Paに換算すると(3)mLになる。またこの水溶液の温度を30℃に上昇させたときにこの水溶液1.0Lから放出される酸素の物質量は(4)molになる。ただしこの実験中の酸素の圧力は常に3.0×105Paに保たれている。


問題3 沸点上昇度について!

(問題)(1)水100gにショ糖を0.04mol溶かした溶液の沸点上昇度が0.208Kであった。このとき1.0mol/kgの塩化ナトリウムの沸点は何℃か?溶液は希薄溶液とみなし塩化ナトリウムの電離度は1、水の沸点は100℃とする。

(2)不揮発性の非電解質の希薄溶液の沸点上昇度を求めるのにモル濃度ではなく質量モル濃度を用いる理由を簡潔に述べよ。

(2)温度の変化によって溶液の体積は変化するが、全体の質量は変化しない。なので温度変化を伴う実験(沸点上昇度の測定など)では体積ではなく質量を基準とした濃度を用いる必要がある。


問題4 凝固点降下度の問題!

(問題)塩化ナトリウム5.85gを水100gに溶解した溶液を調製し、冷却したところー2.50℃から水が凝固しはじめた。さらに冷却を進めると純粋な氷と溶液が共存する状態が見られた。この溶液をー3.00℃まで冷却したときはまだ純粋な氷と溶液が共存する状態であるが、この温度に達するまでに凝固した氷は何gか。有効数字二桁で求めよ。溶液は希薄溶液とし原子量Na=23,Cl=35.5である。


問題5 冷却曲線とモル濃度降下について!

(問題)ある不揮発性の非電解質の分子量を測定するために溶媒にベンゼンを用いてこの非電解質の1.0%溶液を作り、温度を徐序に下げながら凝固点降下を測定した。この溶液の温度は下図の実践で示された曲線のように経過時間とともに変化した。下図において曲線の直線部Aの延長線と縦軸との交点を温度t1、この延長線と曲線との交点の温度をt2、曲線の極小点の温度をt3、曲線の極大点の温度をt4とする。ただし、この溶液の密度をd[g/cm3]、ベンゼンの凝固点を5.5℃、ベンゼンのモル凝固点降下を5.07[K・kg/mol]とする。

(日本医科大)

(1)この溶液の非電解質のモル濃度を溶液の密度dと非電解質の分子量Mを用いた式で表せ。

(2)この溶液の質量モル濃度を非電解質の分子量Mを用いた式で表せ。

(3)図のように凝固がはじまる前に温度が低くなる現象を何というか。その名称を書け。

(4)この溶液の凝固点の温度を図中のt1~t4の中から選べ。

(5)t1=4.7℃、t2=4.5℃、t3=4.0℃、t4=4.3℃のときこの非電解質の分子量Mを求めよ。ただし、答えは有効数字2桁。


問題6 浸透圧についての問題!

(問題)希薄な塩化バリウム水溶液の浸透圧を図に示した装置を用いて27℃で測定したところ液中の高さhは30cmであった。図のMは溶媒を通すが溶質は通さない性質をもつ半透膜である。1.01×105Pa=760mmHg、水銀の密度は13.6g/cm3,水溶液の密度は1.00g/cm3とする。なお水中において塩は完全に電離しており、水の浸透による溶液の濃度変化は無視できるものとする。数値は有効数字二桁で求めよ。(防衛大改)

(1)塩化バリウム水溶液はAとBのどちらか。

(2)塩化バリウム水溶液の代わりに同じモル濃度のグルコース水溶液を用いれば液中の高さhは何cmになるか。

(3)塩化バリウム水溶液の浸透圧は何Paか。

(4)塩化バリウム水溶液の濃度は何mol/Lか。

浸透と逆浸透についての復習
浸透と逆浸透→溶媒分子のみを通過する半透膜を隔てて、純溶媒と溶液を入れたとする。このとき半透膜を通って溶媒分子が純溶媒側から溶液側に移動する現象を浸透といい、浸透圧より大きな圧力を溶液側から加えて溶媒部分子を溶液側から純溶媒側に移動させることを逆浸透という。
高分子化合物は分子量が非常に大きいので、凝固点降下度が小さすぎて温度計で測定するのが難しいことも覚えておこう。


問題7 コロイドに関する問題!

次の(1)~(10)の内容に該当する語句を下の語群から一つずつ選び記号で答えよ。

(1)シリカゲルは薬品や食品などの乾燥剤として広く使われる。

(2)デンプン溶液中に少し溶けている食塩はこれをセロハン袋に入れて流水中に浸しておくことにより取り除くことが出来る。

(3)煙突の一部に直流の高電圧をかけておくと、煤煙が除去できる。

(4)たばこの煙に光束をあてると光の通路が光って見える。

(5)加熱した寒天水溶液を冷やすと固化させることができる。

(6)濃石けん水に多量の食塩を加えたらセッケンが固まった。

(7)温めた豆乳に苦りを加えると固まって豆腐ができる。

(8)囲うには微細な泥が長い年月の間に体積して三角州ができる。

(9)インキにはアラビアゴム、墨汁にはニカワが安定剤として加えられている。

(10)油で汚れた衣服を石けん水で洗うと油汚れがきれいに落ちる。

語群「チンダル現象、吸着、ソル化、ゲル化、乳化、電気泳動、塩析、凝跡、透析、保護コロイド、ブラウン運動」

(解答)(1)吸着(2)透析(3)電気泳動(4)チンダル現象(5)ゲル化

(6)塩析(7)塩析(8)凝析(9)保護コロイド(10)乳化

(解説)

(2)透析→コロイド溶液からコロイド粒子以外の小さな分子やイオンを取り除く操作

(3)煤煙にはコロイド粒子があり正または負に帯電しているので電気泳動によって一方の電極に集めることができる。

(4)コロイド粒子によって光が散乱されるため

(5)ゲル→ゼラチンやデンプンの水溶液は高温では流動性をもつゾルの状態だが冷却すると内部に水を含んだままコロイド粒子が網目状につながりあって流動性を失う。この状態がゲルである。

(6)(7)まず親水コロイドと疎水コロイドについて復習

疎水コロイド→水和している水分子が少なくてコロイド粒子の電荷の反発により安定化しているコロイド。無機物のコロイドが多い(炭素、金属、硫黄、粘度など)

親水コロイド→多数の水分子がコロイド粒子に水和する事により安定化しているコロイドが親水コロイドである。有機物のコロイドに多い。(ゼラチン、豆乳、デンプンなど)

セッケン水溶液はセッケン分子が疎水基を内側に親水基を外側にむけるように集合したコロイドを形成している(会合コロイド)。セッケン水は親水コロイドなので多量の電解質を加えると沈殿する(塩析)。豆乳もタンパク質からなる親水コロイド溶液であるので多量の電解質を加えるとはじめて沈殿する。

(8)疎水コロイドである粘土のコロイドが凝析されて河口に沈殿し三角州を作る

(9)炭素のコロイドには疎水コロイドで凝析しやすいので墨汁の場合親水コロイドとしてにかわを加えて凝析しにくくしている。このようなコロイドが保護コロイドと呼ばれている。

(10)セッケン分子は油汚れを疎水基で取り囲み細かな微粒子(ミセル)に分割して水溶液中に分散させることができる。これが乳化作用である。

一般に直径が1~100nm程度の大きさの粒子をコロイド粒子といい、コロイド粒子が液体中に均一に分散した溶液をコロイド溶液という。コロイド溶液に横から強い光を当てるとコロイド粒子は光を散乱し光った点として観測される。熱運動をしている溶媒分子がいろいろな方向からコロイド粒子に衝突するので光った点が不規則に動くにゃ。これがブラウン運動だにゃ。
コロイドはコロイド粒子(分散質)とコロイド粒子を均一に分散させる物質(分散媒)からなるにゃ。例えば牛乳は水が分散媒で乳脂肪が分散質だにゃ。

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