化学の巻(高校化学) nao blog

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化学の巻↓ 有機化学(高校)

芳香族化合物(炭化水素、アニリン、フェノールの性質および分離)!?

投稿日:11月 15, 2020 更新日:

芳香族炭化水素といえばベンゼン。これは有機化学の分野のなかで沢山でてくるにゃ!!

・ベンゼンとは?

 6個の炭素原子から成り立つ六角形の輪のことをベンゼン環といいます。このベンゼン環をもつ炭化水素には芳香を持つものが多いので芳香族炭化水素とよばれています。まずは芳香族炭化水素の基礎であるベンゼンから解説します。

 ベンゼンの分子式はC6H6で6個の炭素原子は正六角形の各頂点に位置しています。そそて炭素原子間の結合距離はCーC(単結合)とC=C(二重結合)の中間のような結合状態です。

・ベンゼンの置換反応

ニトロ化について

 ベンゼン環の水素が他の置換基に置き換わりやすいです。ベンゼンに濃硝酸と濃硫酸の混合物を作用させると有機化合物中の水素原子がニトロ基で置換される反応ニトロ化がおきニトロベンゼンが生成します。

スルホン化について

 ベンゼンに濃硫酸を作用させるとベンゼンスルホン酸が生成します。有機化合物中の水素原子がスルホ基ーSO3Hで置換される反応をスルホン化と呼びます。

クロロ化について

ベンゼンに鉄粉と塩素を作用させるとクロロベンゼンが生成します。クロロ化と同様にブロモ化もおきます。

・付加反応について

塩素の付加について

 ベンゼンは前提条件としてとても安定しています。これは忘れないように為ましょう。しかしベンゼンに光または紫外線を当てながら塩素を作用させると付加反応がおこりヘキサクロロシクロヘキサンができます。

水素の付加について

 ニッケルを高温高圧で触媒にして、ベンゼンに水素を作用させるとシクロヘキサンが生じます。

・酸化反応について

トルエンの酸化

 トルエンを過マンガン酸カリウム水溶液で煮沸させると酸化されて安息香酸になります。

キシレンの酸化

キシレンを酸化させるとフタル酸ができると覚えましょう。

・アニリンの性質

 アニリンはベンゼン環にアミノ基ーNH2を持った構造です。塩基性を示すところが大きな特徴となります。塩基性をもつので酸と中和反応をおこします。アニリンはさらし粉水溶液で酸化すると赤紫色に色づきます。ニクロム酸カリウム水溶液で酸化した場合は黒色の物質ができます。

 次にアミド結合について解説します。アニリンは無水酢酸と反応させるとアミド結合をもったアセトアニリドが生成します。ちなみにアセトアニリドはアセチル基もあります。

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・アニリンの合成について

 アニリンの原点はニトロベンゼンです。まずニトロベンゼンにSnと濃塩酸を作用させるとアニリン塩酸塩が得ることが出来ます。次にアニリン塩酸塩にNaOHと反応させると弱塩基の生成反応によりアニリンを得ることが可能です。

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・アゾ染料について

 分子内にアゾ基ーN≡Nーが存在していますこのような化合物がアゾ化合物となります。アゾ化合物のなkでp-フェニルアゾフェノールが取り上げられることがあるのでその合成方法について説明します。

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STEP1 アニリンに亜硝酸ナトリウムNaNO2と塩酸HClを氷冷下(5℃以下)で作用させると塩化ベンゼンジアゾニウムができ、このときの反応がジアゾ化といいます。

STEP2 フェノールをNaOHで中和してできたナトリウムフェノキシドと塩化ベンゼンジアゾニウムを氷冷下(5℃以下)で作用させると赤橙色をしたp-フェニルアゾフェノールの沈殿が生成するようになりこの二つの分子がつながることをカップリングとよびます。

ここで塩化ベンゼンジアゾニウムの話にもどります。不安定な塩化ベンゼンジアゾニウムの水溶液に熱が加わるとフェノールが生成します。この場合p-フェニルアゾフェノールはできません。

・フェノールの性質

 フェノールはベンゼン環にヒドロキシ基ーOHが結合した構造をもつ化合物となります。ヒドロキシ基をもつということはアルコールと似た反応を示します。

  • 金属Naと反応して水素H2を発生する。
  • 酸無水物と反応してエステルを作る。

フェノールはカルボン酸とは反応しずらいですが酸無水物とは反応性が高いことは覚えておきましょう。アルコールについてはしたの記事にのせています。

次からはフェノール類特有の性質について解説します。

まずフェノールは酸性となります。アルコールは中性との説明を別の記事で説明していましたがフェノールは酸性となります。ということは水酸化ナトリウムといった塩基と中和反応を引き起こします。

次に塩化鉄(Ⅲ)FeCl3水溶液で紫色に変わります。アルコールは変わりません。ここらへんの違いはテストで問われるかもですね。

ではフェノールの置換反応について解説していきます。フェノールはヒドロキシ基のもつ電子対のおかげでベンゼン環の電子が豊富になり+のものが置換反応しやすいです。またオルト位とパラ位に優先的に置換反応が進行します。

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・フェノールの合成について

フェノールの代表的な合成方法は3つあります。

クロロベンゼンからの合成法

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まずはクロロベンゼンからの合成法について解説します。まずはベンゼンを塩素と反応させクロロベンゼンを生成したあと、水酸化ナトリウム水溶液を高温・高圧で反応させます。つぎにナトリウムフェノキシドに強酸を加えると、弱酸の生成反応によりフェノールが生成されます。

ベンゼンスルホン酸からの合成法

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まずはベンゼンスルホン酸を生成させます。つぎに水酸化ナトリウム水溶液で中和させると塩のベンゼンスルホン酸ナトリウムができます。つぎに固体の水酸化ナトリウムを高温にし、融解させて反応させます。次に酸を加えることでフェノールが生成します。

クロロベンゼンからの合成法、ベンゼンスルホン酸からの合成法は共に最後に塩酸または二酸化炭素を加えることで水素を与えるにゃ!

クメン酸経由での合成法について

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 まずはベンゼンとプロペンに付加反応させるとクメンをつくります。つぎにクメンを酸素で酸化させクメンヒドロキシドが生成します。その次にクメンヒドロペルオキシドを酸で分解させるとフェノールとアセトンが生成します。

合成方法は問われやすいのでしっかり勉強しましょう。

・サリチル酸について

フェノールにカルボキシ基がついたものがサリチル酸です。よってサリチル酸はカルボン酸としての性質とフェノール類としての性質の両方があることになります。

まずはカルボン酸としての性質から説明します。サリチル酸にメタノールと少量の濃硫酸を作用させると、サリチル酸のカルボキシ基がエステル化されることでサリチル酸メチルが生成します。

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つぎにフェノール類としての性質を説明します。サリチル酸に無水酢酸を作用させるとサリチル酸のフェノール性ヒドロキシ基がアセチル化され、アセチルサリチル酸が生成します。

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・サリチル酸の合成について

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まずはフェノールを水酸化ナトリウムで中和しえナトリウムフェノキシドにする。その後ナトリウムフェノキシドに高温・高圧で二酸化炭素を作用させるとサリチル酸ナトリウムが生成します。これに塩酸を作用さえ、弱酸の生成反応がおこるとサリチル酸ができます。

・有機層から水層への移動

ベンゼン環を分子内にもつ芳香族化合物は極性分子である水とはなじみにくいです。これが属にいう疎水性とよばれています。無極性分子であるエーテルなどの有機溶媒には溶けやすいです。まず有機層から水層への移動について解説します。今回の有機物はフェノール、安息香酸、アニリンです。

塩酸を加えるとアニリンは水層へと移動する

アニリン、安息香酸、フェノールの混合物に塩酸を加えるとアニリンのアミノ基がNH2からNH3に変化する。イオンの形になると水に溶けやすくなりアニリンだけが水層にうつることで抽出可能になります。これはアニリンが塩基性なので塩酸と反応させる中和反応を利用しています。

炭酸水素ナトリウムを加えると安息香酸が水層へ移動する

安息香酸・フェノールを含む有機層に炭酸水素ナトリウムを加えると安息香酸が水素へと移動止抽出可能です。酸の強さは炭酸より安息香酸の方が大きいの安息香酸のカルボキシ基の水素が炭酸水素ナトリウムの方に移動することでこの反応がおこります。これは弱酸の生成反応を利用していることになります。

フェノールは水酸化ナトリウムを加えると水層へと移動する。

 フェノールに水酸化ナトリウム水溶液を加えるとエーテル層から水層に移動します。これはフェノールが酸性なので中和反応を利用していますね。

以下が上の3つの反応をまとめたもの

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・水層から有機層への移動

これからは先ほどとは違う逆パターンを説明します。

アニリンの陽イオンは水酸化ナトリウムで有機層に移動する

塩酸によってイオンに変身しあアニリンは水酸化ナトリウムを加えることでNH3がNH2に変化する。よって水層から有機層に移動する。

安息香酸の陰イオンは塩酸でエーテル層に移動する

安息香酸も塩酸を加えると弱酸の生成反応が起こって水層から有機槽に移動します。

フェノールの陰イオンは二酸化炭素で有機層に移動する

 二酸化炭素によって弱酸の遊離反応がおこり炭酸より弱い酸であるフェノールが水層から有機槽に移動する。

以下の上の3つについてまとめています。

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ここで酸の強さについてもう一度まとめておこう。
HCl>R-COOH>CO2+H2O(H2CO3)>フェノール
これすごくだいじだにゃ!

・演習問題

問題1()にあてはまる語句を答えよ。

 ベンゼンは特有のにおいのある(1)色の(2)体で揮発性、引火性が(3)く、空気中では大量の(4)を出しながら燃える。また水よりも(5)く、水に(6)。(7)の平面分子で炭素原子間の結合距離は全て等しく、エチレン分子より(8)。ベンゼンの二置換体には(9)、(10)、(11)[順不同]の3種の異性体がある。

 塩化鉄を触媒としてベンゼンに塩素を反応させると(12)が得られる。

 ベンゼンを濃硫酸と濃硝酸の混酸で処理するとベンゼン環の水素の一つが(13)に(14)された化合物(15)が得られる。

 ベンゼンを濃硫酸と共に加熱すると(15)が生じる。(15)は水にとけてその水溶液はカルボン酸より強い酸性をしめす。

 ベンゼンに白色光や紫外線にあてるとベンゼンは(16)反応を行い(17)を生じる。

 

  1. 大き
  2. すす
  3. ほとんど溶けない
  4. 正六角形
  5. 長い
  6. オルト
  7. メタ
  8. パラ
  9. ニトロ基
  10. 置換
  11. ニトロベンゼン
  12. ベンゼンスルホン酸
  13. 付加
  14. ヘキサクロロシクロヘキサン

問題2()にあてはまる語句を答えよ。

アニリンは水に溶けにくいが弱い(1)性をもつので塩酸と反応させると(2)となり水に溶ける。

ベンゼンを濃硫酸と濃硝酸の混酸で処理するとベンゼン環の水素の一つが(3)に(4)された化合物(5)が得られる。また化合物(5)をスズと塩酸で処理すると化合物(6)を得ることが出来る。化合物(5)がから化合物(6)を生成する反応は(7)反応である。

メチルオレンジやオレンジⅡのようにーN=Nーをもつ化合物を(8)化合物といい、この骨格をもつ化合物は興行的に(9)として用いられる。

化合物(10)の水溶液と塩化ベンゼンジアゾニウムの水溶液を冷却しながら混合したところ、色のついた化合物(11)が生成した。この化合物の色は(12)色である。

  1. 塩基性
  2. ニトロ基
  3. 置換
  4. ニトロベンゼン
  5. アニリン
  6. 還元
  7. アゾ
  8. 染料
  9. ナトリウムフェノキシド
  10. p-フェニルアゾフェノール
  11. 橙色

問題3()にあてはまる語句を答えよ。

 フェノールはアルコールと同様に(1)基をもち、エステルを作ることができる。一方でアルコールの(1)基は水溶液中で電離しないのでエタノールやメタノールの水溶液は(2)性であるがフェノールの(1)基は水溶液中でわずかに電離して(3)性を示す。そのためアルコールと水酸化ナトリウムは常温では反応しないがフェノールは水酸化ナトリウムと反応して塩である(4)を生じる。またフェノールは濃硝酸と濃硫酸の混合物を作用させると、3つの水素原子が(5)された化合物(6)を生じる。

ベンゼンに濃硫酸を加えて加熱すると化合物ベンゼンスルホン酸が得られる。(7)が得られる。(7)に室温で水酸化ナトリウム水溶液を加えると化合物(8)が生じる。(8)を高温で融解した水酸化ナトリウムと反応させると化合物(9)になる。(9)の水溶液に二酸化炭素を通じると化合物(10)が得られる。

 フェノールはベンゼンに鉄粉と塩素を作用させて得られる(11)を高温高圧で水酸化ナトリウム水溶液と反応させて(12)とした後、二酸化炭素をふきこうむことで合成できる。

サリチル酸にメタノールと濃硫酸を作用させると、強い芳香をもち常温常圧で液体である(13)が得られこれは筋肉などを消炎するための外用塗布剤に用いられる。

  1. ヒドロキシ
  2. 弱酸
  3. ナトリウムフェノキシド
  4. 置換
  5. 2-4-6–トリニトロフェノール(ピクリン酸)
  6. ベンゼンスルホン酸
  7. ベンゼンスルホン酸ナトリウム
  8. ナトリウムフェノキシド
  9. フェノール
  10. クロロベンゼン
  11. ナトリウムフェノキシド
  12. サリチル酸メチル

問題4 アニリン、トルエン、フェノール、安息香酸の混合物を以下の操作で分離することにした。最後の物質1~4は何かを答えよ。

解答

  1. アニリン
  2. 安息香酸
  3. フェノール
  4. トルエン

トルエンはベンゼン環にーCH3がついている構造式にゃ。

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