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酸化剤と還元剤について??(酸化還元滴定)

投稿日:8月 1, 2020 更新日:

実は酸化還元反応には酸化剤と還元剤とうものがあるにゃ。今回はその酸化剤と還元剤について解説していくにゃ。

・酸化剤と還元剤とは?

 酸化還元反応で相手の物質を酸化する物質を酸化剤といいます。一方で相手の物質を還元する物質が還元剤といいます。酸化剤は相手を酸化するので酸化剤自身は還元されます。ということは還元剤は相手を還元するので還元剤自身は参加されます。

電子の動きが大事だにゃ!

・還元剤と酸化剤の半反応式について?

・2KnO4+10KI+8H2SO4→2MnSO4+5I2+8H2O+6K2SO4 (A)

これはとても長い酸化還元反応の反応式ですね。この長い式を書くにはコツがあります。この式は還元剤と酸化剤が組み合わさった式で酸化剤と還元剤にわけて考えることができます。その分けた反応式を半反応式といいます。この半反応式には書き方があります。

  1. 酸化剤、還元剤を左辺に、反応後の物質を右辺に記す。
  2. 酸化数の変化を求め、電子(e)を加える。
  3. 両辺の酸素Oの原子数をH2Oを使って合わせる。
  4. 両辺の水素Hの原子数をH+を使って合わせる。

では酸化剤である過マンガン酸イオンMnO4を例にとってやっていきます。次の反応式は硫酸で酸性にした場合のMnO4の反応式です。

  1. MnO4 → Mn2+
  2. MnO4 + 5e → Mn2+
  3. MnO4 + 5e → Mn2+ + 4H2O
  4. MnO4 + 5e + 8H+→ Mn2+ + 4H2O(1)

まず1.のMnO4のMn の酸化数は+7{X+(-8)=-1}→X=7、右辺のMn2+の酸化数は+2よって左辺と右辺の酸化数を合わせるため2.左辺に電子を5個加える。3では左辺に酸素がMnO4より4個あるので右辺にH2Oを4個加える。4.では右辺にH2Oを4個加えたことで左辺にH+を8個加えることで両辺の水素の原子数の数をそろえています。過マンガン酸イオンがMnO4 → Mn2+になるのは覚えましょう。他の物質も含めて下の表にのせます。

続いて還元剤であるヨウ化物イオンを例にとってやっていきます。

  1. 2I → I2
  2. 2I → I2 +2e(2)

今回は酸素と水素原子がないので酸化数から電子を加えるだけでよいです。酸化剤と還元剤の半反応式が書けたのであとはこの二つの式を合わせるだけです。この酸化還元反応の反応式の書き方にもルールがあります。

  1. 酸化剤と還元剤それぞれの半反応式を書く。
  2. 2つの半反応式の電子(e)の数を合わせる。
  3. 反応に関係のしなかったイオンを両辺に同じ数だけ加える。

1.MnO4 + 5e + 8H+→ Mn2+ + 4H2O(1)と2I → I2 +2e(2)

2.(1)式を2倍、(2)式を5倍しそれぞれの式を足すと

2MnO4 10e + 16H+→ 2Mn2+ + 8H2O(1)

+)10I → 5I210e(2)

2MnO4 +16H+ + 10I→2Mn2++5I2+ 8H2O(右辺の式を左辺に持ってくると電子10eはー10eになるため+10eと打ち消しあう)

3.この酸化還元反応は硫酸で酸性にした過マンガン酸カリウム(KMnO4)の水溶液とヨウ化カリウム水溶液(KI)である。この酸化還元反応の化学反応において直接関係しなかったSO42-とK+をそれぞれの両辺に加える。陰イオンにはK+、陽イオンにはSO42-である。両辺にそれぞれ12個のK+と8個のSO42-を加える。

2KMnO4 + 10KI + 8H2SO4 → 2MnSO4 + 5I2 + 8H2O +6K2SO4

これで完成です。

酸化還元反応の化学反応式は一つずつ丁寧に考えていけばかっこいい式ができるにゃ!

・酸化還元滴定の量的関係とは?

酸化剤と還元剤がちょうど反応するとき、還元剤が放出する電子eの物質量と、酸化剤が受け取る電子eの物質量は等しくなります。酸化還元滴定の終点は酸化剤と還元剤がちょうど反応した状態です。濃度c[mol/L]、体積v[mL]、a個のeを受け取る酸化剤と、濃度c'[mol/L]、体積v'[mL]、b個のeを放出する還元剤がちょうど反応するとき、次の式が成り立ちます。

例で考えていきましょう。濃度不明の過酸化水素水20.0mLを濃度が正確に分かっている0.050mol/Lの過マンガン酸カリウム水溶液を用いて滴定する。過不足なく反応したときの過マンガン酸カリウム水溶液の滴定量が15mLであったとすれば過酸化水素の濃度は何か求めます。

まず酸化剤と還元剤の半反応式を書きます。

MnO4 + 5e + 8H+→ Mn2+ + 4H2O

H2O2 →O2 + 2e + 2H+

次に公式に当てはめていきます。過酸化水素粋の濃度をz[mol/L]とすると

0.050(mol/L)×0.015(L)×5(eの数)=z(mol/L)×0.02(L)×2(eの数)

→z=0.09375≑0.094[mol/L]

・まとめ

  • 酸化剤 他の物質を酸化する物質。
  • 還元剤 ほかの物質を還元する物質。
  • 酸化還元反応の量的関係 酸化剤の受け取る電子eの物質量=還元剤の与える電子eの物質量。
  • 酸化還元滴定 濃度既知の酸化剤または還元剤を用いて濃度未知の還元剤または酸化剤の濃度を決定する操作。

・演習問題

問1.次の反応を化学反応式で示せ。

(1)硫酸酸性の過マンガン酸カリウムとシュウ酸を反応させる。

(2)硫酸酸性の過酸化水素水にヨウ化カリウム水溶液を加える。

どれが酸化剤でどれが還元剤か?をまず考えよう。

解答(1)酸化剤はKMnO4、還元剤はH2C2O4である。二つの電子の数が同じになるようにそろえる。

MnO4 + 5e + 8H+→ Mn2+ + 4H2O(A)

H2C2O4 →2CO2+ 2e+ 2H+(B)

(A)×2+(B)×5で計算する。

2MnO4 + 5H2C2O416H+→ 2Mn2+ +10CO2+ 8H2O+ 10H+

→2MnO4 + 5H2C2O4+ 6H+→ 2Mn2+ +10CO2+ 8H2O

反応に直接関係していないSO42-とK+をそれぞれの両辺に加える。この場合左辺に2K+と3SO42-加えるので右辺も同じ量加える。

2KMnO4 + 5H2C2O4+3H2SO4→ K2SO4 +2MnSO4+10CO2+ 8H2O

解答(2)酸化剤H2O2、還元剤はI

H2O2+ 2e + 2H+ →2H2O(C)

2I → I2 +2e(D)

(C)+(D)を計算する。

H2O2+ 2I+ 2H+ →I2 +2H2O

反応に直接関係していないSO42-とK+をそれぞれの両辺に加える。

H2O2+ 2KI+ H2SO4 →I2 +K2SO4+2H2O

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