理論化学

電気分解の計算

投稿日:3月 17, 2021 更新日:

今回は電気分解の具体的な計算をしていくにゃ。電気と電子の関係性をしっかり学習し頑張っていこう!

  • 目次
  • ファラデーの法則について
  • 直列回路と並列回路
  • 電気分解の計算
  • 演習問題

・ファラデーの法則について

ファラデーの法則

電気分解では陽極・陰極で変化する各物質の物質量は流れた電子に比例します。これがファラデーの法則といいます。Ag++e→Ag の反応の場合、1molの電子が流れると1mol、2molの電子が流れれると2molのAgが析出します。これは反応式の係数と一致します。

電気量

電気分解では電気がどれだけ流れたかを電気量という言葉で表します。まず電流[A]は電子の流れです。そして電子の量は時間[s]が長いほど多く流れます。この電流と時間の積でその時間に流れた電気の総量がわかります。この総量が電気量[C]です。

電気量[C]=電流[A]×時間[S]

(例)5.0Aの電流を10分30秒流したときの電気量 → 5.0A×(60×10+30)s=3150C

電子1molが流れたときの電気量は次の値になります。1molの電子がもつ電気量=96500C/molファラデー定数

ファラデー定数を利用して反応した物質や電子の物質量[mol]から電気量[C]を求めることができます。

(例)酸素22.4L(標準状態)が発生するときに流れた電気量

2H2O→O2+4e+4H+   係数に着目する。e:O2=4:1 まずは酸素のmol数を求める。次にそれが電子は4倍なので×4をする。最後に96500C/molをかけてmolを消し、電気量を求める。

(22,4÷22.4)×4×96500=386(C)

・直列回路と並列回路

直列回路

直列につながれた電解槽はすべて同じ電気量が流れます。上の図の場合で考えると電池、電解槽A,Bともに同じ1molの電子が流れます。

並列回路

並列につながれた場合、それぞれの電解槽に流れた電気量の合計が電気から流れ出た電気量に等しくなります。気をつける点はそれぞれの電解槽に同じ電気量ずつ流れるとは限らないです。

・電気分解の計算

(例題)下の図のように回路を組み立て10Aの電流を30分間ながして電気分解を行った。電解槽AにはAgNO3水溶液が入っており、電極には銅板と銀板が使われている。電解槽BにはNaOH水溶液が入っており両極とも白金板が使われている。電解槽CにはCuSO4水溶液が入っている。次の問いに有効数字3桁で答えよ。ただし原子量はAg=108としファラデー定数は9.65×104C/molとする。

(1)電解槽Aで銅板の電極に3.0gの銀が析出した。このとき電解槽Aに流れた電気量を求めよ。

(2)電解槽B,Cそれぞれに流れた電気量を求めよ。

(3)電解槽Bの陽極で発生した気体の標準状態での体積mLを求めよ。

解答↓

(1)電解槽Aの銅板電極における反応式 Ag++e→Ag  係数比e:Ag=1:1

(3÷108)×(1÷1)×9.65×104= 2.68×103C

(2)10×30×60(全体の電気量)=2.68×103+Bの電気量(Cの電気量) →Bの電気量(Cの電気量)=15320≑1.53×104

(3)電解槽Bの水溶液の液性は塩基性なので陽極の反応式は

4OH→O2+4e+2H2Oである。係数比がe-:O2=4:1より

(1.53×104÷9.65××104)×(1÷4)×22.4×103≑888mL

・演習問題

1.00mol/Lの硫酸銅(Ⅱ)水溶液1.00L中に10.0gの白金電極を2枚浸し、2.5Aの直流電流を12分52秒間流した。この電気分解に関与する電子の物質量は(1)molであり、陰極に析出する物質の質量は(2)mgである。一方、陽極で発生する気体の体積は標準状態で(4)mLとなる。H=1.0,O=16.0,S=32.1,Cu=63.6,Pt=195,F=96500C/mol (明治大)

解答↓

この電気分解に関与するeの物質量は 2.5(C/秒)×772(秒)×1(mol)/96500(C)=0.0200(mol)となる。

Cu2+SO42-→(-)Cu2++2e→Cu (+)2H2O→O2+4H++4e

陰極ではe2molが流れるとCu1molが析出するCuは

0.0200mol×(1÷2)×63.6×1000=636mg となる。

一方陽極ではe4molが流れるとO21molが発生することが分かるので発生したO2は標準状態で

0.0200mol×(1÷4)×22,4(L/mol)×1000=112mL

-理論化学

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