無機化学

物質の工業的製法(2)

投稿日:1月 10, 2021 更新日:

今回は工業的にアルミニウム、銅、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウムの生成法を解説するにゃ。

・アルミニウムの製法

アルミニウムの精製はボーキサイト(鉱石)から不純物を取り除くことで残ったアルミナAl2O3から電気分解でAlを取り出すを取り出すことができます。具体的な手順は以下の通りです。

(1)原料であるボーキサイト(不純物Fe2O3など)を濃NaOH水曜液に加熱融解させる。このときアルミナAl2O3は両性酸化物、Fe2O3は塩基性酸化物なので強塩基のNaOHとは両性酸化物であるAl2O3だけが反応し[Al(OH)4]をつくって溶解する。Al2O3+2NaOH+3H2O→2Na[Al(OH)4] 塩基と反応しないFe2O3などの不純物は得られた水溶液をろ過することで除くことが可能です。

(2)得られた濾液に多量の水を加えて水溶液のpHを下げる。つまりOHの濃度を小さくするとOHの濃度を大きくする方向である右に平衡が移動しAl(OH)3の沈殿が生成する。Na[Al(OH)4]⇄NaOH+Al(OH)3

(3)Al(OH)3の沈殿を加熱し純粋なAl(OH)3を作る2Al(OH)3→Al2O3+3H2O

(4)アルミナAl2O3を融解した氷晶石に溶かして融解塩電解をする。

・銅の電解精錬

硫酸銅(Ⅱ)水溶液に粗銅(Cu以外にZn,Fe,Ag,Auなど種々の金属を含む)を陽極に純極を陰極にして電気分解する。

ここで着目するのが粗銅の中にあるそれぞれの金属のイオン化傾向の大きさに着目しよう。イオン化傾向がCuより大の金属は陽イオンになる。しかし亜鉛と鉄イオンは電子を受け取ることができない。イオン化傾向が銅より小さい金属は電圧が低いため電子を出せず他の金属イオンが粗銅板から出て行くとき同時に放出され陽極泥としてたまっていきます。陰極側では銅イオンが電子を受け取り析出します。ここで注意するので硫酸銅(Ⅱ)水溶液からの銅イオンも電子を受け取る点です。よって硫酸銅(Ⅱ)水溶液の濃度は下がります。

・陽イオン交換膜法(NaOH生成法)

電解槽の中央部を陽イオン交換膜で仕切り陽極側には塩化ナトリウム飽和水溶液NaClを加え陰極側には水H2Oを入れて電気分解をする。

(陽極)2Cl→Cl2+2e(1)

(陰極)2H2O+2e→H2+2OH(2)

(1)+(2) 2Cl+2H2O→H2+Cl2+2OH (3)

(3)に2Naを両辺に加えると

2NaCl+2H2O→H2+Cl2+2NaOH

・アンモニアソーダ法(炭酸ナトリウム生成法)

炭酸ナトリウムは塩化ナトリウムと炭酸カルシウムを材料として作られる。この方法は生成物をしっかり答えれるようにしときましょう。

(1)NaCl水溶液にアンモニアを吸収させ二酸化炭素を吹き込む

NaCl+NH3+CO2+H2O→NaHCO3+NH4Cl

(2)NaHCO3を加熱し分解する

2NaHCO3→Na2CO3+CO2+H2O

(3)CaCO3を加熱して分解する

CaCO3→CO2+CaO

(4)CaOを水と結合させる

CaO+H2O→Ca(OH)2

(5)NH4Cl+Ca(OH)2→2NH3+2H2O+CaCl2

(1)+(5)は

NaCl+CaCO3→Na2CO3+CaCl2

・演習問題

問題()に当てはまる語句を答えよ。

一族元素の一つであるナトリウムの単体は水と常温で激しく反応して水素を発生する。反応後の溶液は塩基性で二酸化炭素を吸収して(1)を生じる。この塩はガラスや石けんなどの原料として重要で工業的には(2)法によって合成される。

水酸化ナトリウムは工業的には塩化ナトリウム水溶液のイオン交換膜法による電気分解で製造される。この方法では電極間を陽イオン交換膜で仕切り、(3)に飽和食塩水をもう一方の側に水を入れて電気分解すると陰極側で水酸化ナトリウムが生成すると同時に陰極で(4)が発生する。

工業的にはアルミニウムの単体を得るにはまず鉱石である(5)から酸化アルミニウムをつくったのち、これを加熱分解した(6)に溶かし、炭素を電極に用いて(7)を行う。(8)極では酸化アルミニウムの電極で生じたアルミニウムイオンが(9)されてアルミニウムを生じる。

粗銅を(10)極、純銅を(11)極として硫酸酸性の硫酸銅(Ⅱ)水溶液を0.3V程度の電圧で電気分解する。このとき粗銅に含まれる不純物として亜鉛、銀、鉄、金を考えると(12)と(13)*順不同)が陽イオンとなって水溶液に溶解する。一方、(14)と(15)*順不同)はイオンにならずそのまま粗銅電極の下に沈殿する。溶液中に溶けている陽イオンの中で銅(Ⅱ)イオンが最も還元されやすく、(11)極に純度の高い銅が得られる。

  1. 炭酸ナトリウム
  2. アンモニアソーダ法
  3. 陽極
  4. 水素
  5. ボーキサイト
  6. 氷晶石
  7. 融解塩電解
  8. 還元
  9. 亜鉛

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