無機化学

物質の工業的製法(1)

投稿日:1月 9, 2021 更新日:

今回はアンモニア、硝酸、硫酸、鉄の工業的製法について学習していきにゃ!

・ハーバー法(アンモニア)

アンモニアは窒素と水素の混合物を高温・高圧で合成させることでつくることができます。このとき鉄の酸化物を触媒として使う必要があります。

NH3+3H2→2NH3+92kj

上の式に着目しましょう。高圧にすると平衡移動の原理により体積や分子数が減少する方向にいくので右方向に移動し目的のアンモニアをたくさん生成することが可能。高温にするのは反応速度が低温では小さいのが理由です(平衡移動の原理ではありません)

・オストワルト法(硝酸)

オストワルト法はアンモニアのNに酸素を加えていき硝酸HNO3を作るのでつまり酸化させていく方法となります。酸化させていく方法を一つずつ説明していきます。

(1)アンモニアを一酸化窒素NOに酸化させる(触媒として白金を使用する)

4NH3+5O2→4NO+6H2O(約800℃の高温で反応させる)

(2)NOを酸化して二酸化窒素NO2にする

2NO+O2→2NO2(高温→140℃以下に温度をさげる)

(3)NO2を温水に吸収させて硝酸をつくる

3NO2+H2O→2HNO3+NO

(1)~(3)よりNH3+H2O→2HNO3+NO

・接触法(硫酸)

硫黄Sを燃焼・酸化させていって水(濃硫酸)に溶かし硫酸H2SO4を作る。ただし直接水とは反応させないのが大事です。

(1)硫黄を燃焼させ二酸化硫黄SO2をつくる

S+O2→SO2

(2)二酸化硫黄SO2を酸化バナジウム(V)V2O5を触媒としさらに酸化させ三酸化硫黄SO3にする

2SO3+O2→2SO3

(3)三酸化硫黄SO3を濃硫酸(H2SO4+H2O)に吸収させ発煙硫酸にしそれを希硫酸でうすめ濃硫酸にする。

SO3+H2O→H2SO4

(1)~(3)S+3/2O2+H2O→H2SO4 *SO3を直接水に入れると多量の熱が発生して水が沸騰し、硫酸ミストになるので危険であることを覚えておこう

・鉄の製錬

鉄鉱石を自然界から取り出すと酸化鉄の状態ですよってコークスや石灰石を利用して不純物を取り出す必要があります。

(1)溶鉱炉の中では酸化物が徐々に単体のFeへと還元されていき銑鉄Feができる。

上から反応していく様子を下に示す

(1)3Fe2O3+CO→2Fe3O4+CO2

(2)Fe3O4+CO→3FeO+CO2

(3)FeO+CO→2Fe+CO2

(1)~(3)をまとめると

Fe2O3+3CO→2Fe+3CO2

(2)転炉では融解した銑鉄に酸素を吹き込み余分な炭素などを除いて鋼を得る。鋼は硬く割れにくいのが特徴です。

・演習問題

問題()にあてはまる語句を答えよ。

溶鉱炉から出た鉄は4%程度の炭素を含み(1)と呼ばれる。これに高温で酸素を吹き込み炭素を燃焼させることで(2)が得られる。(1)は(3)という性質を示すが(2)は(4)という性質を示し、炭素の含有量により異なる性質を示す材料が得られる。

硫酸の工業的製法には二酸化硫黄を空気と混ぜ酸化バナジウム(Ⅴ)の存在下に反応させて得られる物質を(5)に吸収させて(6)とした後、(7)を加える接触法が知られている。

窒素と水素を四酸化鉄を主成分とする触媒を使って高温高圧で反応させるとアンモニアが得られるが、この方法は(8)法と呼ばれる。

硝酸は工業的にはアンモニアを利用してオストワルト法で製造される。この方法では白金を触媒として(9)を発生させる。(9)を冷却後、空気中の酸素と反応させ気体(10)を得る。(10)を水と反応させるの三段階の反応で硝酸を得る。

  1. 銑鉄
  2. もろい
  3. 強くてかたい
  4. 濃硫酸
  5. 発煙硫酸
  6. 希硫酸
  7. ハーバー(ボッシュ)
  8. 一酸化窒素
  9. 二酸化窒素

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