理論化学

混合気体について

投稿日:8月 11, 2020 更新日:

今回は混合気体について解説するにゃ。計算問題で問われることが多い分野だにゃ。

・混合気体の体積について?

 ここでは一定温度T、一定圧力Pの場合で気体Aと気体Bを混合した場合を考えていきます。体積と物質量をそれぞれVA、nA、VB、nBとすると

混合気体の体積V=VA+VB

混合気体の物質量n=nA+nB

・混合気体の圧力について?

一定の温度T、体積Vの場合で気体Aと気体Bを混合した場合を考えていきます。この混合したときの圧力Pを全圧といいます。また気体Aと気体Bがそれぞれ体積Vのとき示す圧力PA、PBを分圧といいます。この混合気体の全圧は各成分気体の分圧の和になり以下の関係式になります。

P=PA+PB(ドルトンの分圧の法則)

上の式を導いていきましょう。気体A、気体Bのそれぞれの状態方程式は

PAV=nART(1)、PBV=nBRT(2)

→(1)+(2)→(PA+PB)V=(nA+nB)RT(3)

これらを同じ容器Vに混合するので物質量はnA+nB、全圧をPとおいて

PV=(nA+nB)RT(4)

(3)と(4)の右辺に着目すると同じことがわかるとおもいます。(3)を(4)に代入すると

PV=(PA+PB)V

両辺のVは消せるので

P=PA+PBとなりドルトンの分圧の法則の関係を導くことができました。

・モル分率とは?

モル分率とは「ある気体の分圧は全圧にその気体のモル分率をかけたもの」です。これも式をだすことで導くことができます。

(1)÷(4) → PA/P=nA/(nA+nB) → PA=P×[nA/(nA+nB)](5)

(2)÷(4) → PB/P=nB/(nA+nB) → PB=P×[nB/(nA+nB)](6)

(5)の[nA/(nA+nB)]を気体Aのモル分率、(6)の[nB/(nA+nB)]を気体Bのモル分率といいます。モル分率を全ての成分気体について足し合わせると1になります。

分圧の比=物質量の比=体積の比であることも覚えておこう!

・混合気体の平均分子量とは?

混合気体では気体を構成する成分の比を使って平均した分子量を考えると便利です。これを平均分子量といいます。例えば空気は窒素と酸素がほぼ4:1で混ざった混合気体なので空気の平均分子量は以下のように計算できます。

空気の分子量=(窒素の分子量)×(4/5)+(酸素の分子量)×(1/5)

混合気体は平均分子量をもつ単一成分の気体と同じように扱うことができます。

・まとめ

  • ドルトンの分圧の法則 全圧は分圧の和である。P=PA+PB+・・・
  • 分圧=全圧×モル分率
  • モル分率=着目した成分の物質量÷混合物の全物質量

・演習問題

問題1.一定温度で1.0×105Paの酸素4Lと6.0×105Paの窒素2Lを10Lの容器に入れた。この混合気体の全圧を求めよ。

まずぞれぞれの気体の分圧を一定温度での変化なのでボイルの法則をつかってもとめるにゃ。

解答. 酸素の分圧をP1、窒素の分圧をP2とおくとそれぞれボイルの法則より

1.0×105×4=P1×10 →P1=4.0×104Pa

6.0×105×2=P2×10 → P2=12×104Pa

全圧=P1+P2=4.0×104+12×104=16×104=1.6×105(答え)

問題2.容積4.0Lと2.0Lの2つの容器VとWがコックを閉じた状態で連結されている。Vには酸素が3.0×104Paの圧力で、Wには窒素が1.2×105Paの圧力で詰められている。温度を一定に保ったまま、コックを開け2つの気体を混合した。酸素の分圧は(1)Paであり、混合気体の分圧は(2)Paである。また混合気体の平均分子量は(3)である。N=14,O=16

解答(1)酸素についてはn,R,Tが変化していないのでPV=nRTにあてはめると

PV=3.0×104×4.0=Po2×6→Po2=2.0×104Pa

解答(2)窒素の分圧についても(1)の酸素と同様にもとめる。

PV=1.2×105×2.0=PN2×6→PN2=4.0×104Pa

全圧はPo2+PN2=2.0×104Pa+4.0×104Pa=6.0×104Pa

解答(3)分圧の比=物質量の比より

O2:N2=2.0×104:4.0×104=1:2 、O2=32、N2=28よって混合気体の平均分子量を求めることができる。

32×[1/(1+2)]+28×[2/(1+2)]≑29

問題3.容積20Lの容器Aの内部を真空にして水3.6gを注入し、容器内の温度を90℃に保ったとき容器A内の圧力は何Paか?ただし90℃における飽和蒸気圧を7.0×104Pa,気体定数は8.3×103[Pa・L/(K・mol)],H2O=18

これは上の条件の時に水が液体なのか気体の状態なのかを判断する必要があるにゃ。判断するにはまず全て気体と仮定した的の圧力を考えてそれが飽和蒸気圧より高い場合はすべて気体で飽和蒸気圧より高い場合は一部が液体として存在しているにゃ。

容器Aの水の物質量を求める3.6g÷18g/mol=0.2mol。水がすべて気体であると仮定した場合の仮の圧力をPとおくと

P×20=0.2×8.3×103×(273+90)→P≑3.0×104Pa

90℃における飽和蒸気圧を7.0×104Paなので

P≑3.0×104Pa<7.0×104Paとなり仮定通り水はすべて気体であり容器A内には気体H2Oだけが存在している。答えは3.0×104Paとなる。

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