有機化学

油脂・セッケン

投稿日:1月 23, 2021 更新日:

油脂は身近なものとしてせっけんがあるにゃ!面白い構造をもっているからしっかり勉強するにゃ!

・油脂とは?

油脂はエステル結合が3つありとても炭素数が多いです。エステルなので加水分解しやすい構造です。また炭素数が多いということは分解して体内でエネルギーとなりやすいです。油脂は水よりも軽く水に溶けにくく有機溶媒に溶けやすいです。

・油脂の特徴

<油脂の加水分解>エステルなのでカルボン酸とアルコールに加水分解できます。このとき生じるカルボン酸はーCOOHが1つで直鎖状の構造をもっていて脂肪酸と呼ばれます。またアルコールはーOHを3つもつ3価のアルコールでグリセリンと言います。

<様々な脂肪酸>油脂を構成する脂肪酸にはC=C結合をもたない飽和脂肪酸と、C=C結合をもつ不飽和脂肪酸があります。

ステアリン酸は飽和脂肪酸です。オレイン酸、リノール酸、リノレン酸は不飽和脂肪酸です。順番にC=C二重結合を1,2,3個持っています。油脂の融点は炭素原子の数が多いほど高く、C=C結合が多いほど低くなります。ステアリン酸の融点は71℃、オレイン酸は13℃、リノール酸はー5℃、リノレン酸はー11℃です。

<油脂分子中の二重結合と付加反応について>二重結合には水素分子や酸素分子などが付加反応します。代表的なのが硬貨油乾性油です。硬貨油は脂肪油にニッケルを触媒として水素が付加することで不飽和脂肪酸の一部が飽和脂肪酸に変わり固体になったものです。乾性油は二重結合を多数もっている脂肪油が空気中で酸素と反応してかたまったものです。反対に二重結合がすくなく空気中で固化しにくい脂肪油を不乾性油といいます。

・セッケンについて

エステルである油脂に水酸化ナトリウムを加えしばらく加熱するとグリセリンと脂肪酸ナトリウム塩に分解されます。この脂肪酸ナトリウム塩がいわゆるセッケンです。

C3H5(OCOR)3+3NaOH→3RCOONa+C3H5(OH)3

(セッケンの性質)

①上の化学式からセッケンは弱酸と強塩基の塩なので水溶液で加水分解して弱塩基性を示す。

RCOONa+H2O⇄RCOOH+Na+OH

②酸性の水溶液中で使うと脂肪酸が遊離するので洗浄力を失います。

RCOONa+H→RCOOH↓+Na

油脂は混合物なので油脂の分子量や不飽和度は一定ではないです。そこでその構成比率の指標となるのがけん化価とヨウ素価です。それぞれの求め方を下に示します。

(例題)ある油脂の分子量は880、ヨウ素価は174である。このことからこの油脂1分子中に含まれるC=C結合の数を求めよ。

(答え)油脂1分子中に含まれるC=C結合の数をnとすると、油脂1molに付加するヨウ素はn[mol]である。油脂100gに付加するヨウ素の質量が174gであるから、ヨウ素価=174=(100÷880)×n×254=174 →n=6

 答え 6個

・セッケンの構造について

セッケンは水に溶けやすい性質(親水性)の部分と油に溶けやすい(親油性)の部分をもっている。セッケンのように親水性の部分と親油性の部分を両方もっている化合物を界面活性剤と呼びます。

界面活性剤は親油性の部分が汚れと結合する。一方で親水性部分で水分子が引き合うので汚れを水中に分散させて溶かします。その仕組みを下に示します。

セッケンの性質についてふれます。セッケンは水に溶かすと加水分解作用により塩基性を示します。しかしセッケンは硬水や海水中では水に不溶性の沈殿をつくるので溶けにくいです。

2RーCOO + Ca2+→(RーCOO)2Ca↓

・合成洗剤について

合成洗剤は加水分解を起こさないので中性を示します。また硬水や海水でも使えます。

ABS洗剤(アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム)

<アルコール系洗剤>炭素原子の多いアルコールをエステル化し水酸化ナトリウムで中和するとセッケンと同じ構造となります。

・演習問題

問題()にあてはまる語句を答えよ。

油脂は1分子の(1)と3分子の脂肪酸から水が3分子とれて出来ている。脂肪酸のうち炭素原子鎖の中に二重結合を含むものを(2)、単結合だけ含む物を(3)という。炭素数17の炭化水素基を含む公共脂肪酸にはステアリン酸、オレイン酸、リノール酸などがあるがこの3つのなかで最も融点の高いものが(4)*である。*ヒントC=Cの数が多くなると融点は低くなる。

油脂はグリセリンと脂肪酸が(5)結合したものであり、油脂に水酸化ナトリウム水溶液を加えて加熱するとグリセリンと脂肪酸のナトリウム塩になる。この反応をけん化という。また油脂1gをけん化するのに必要な水酸化カリウムの数値をけん化価といい油脂の質量が同じであれば分子量の小さい油脂ほどけん化価は(6)なる。

セッケンは水中で内側に(7)を、外側に(8)を向けたミセルをつくる。またセッケンは(9)酸と(10)塩基の塩であるため水中で一部が加水分解して(11)性を示す。

ベンゼン環にアルキル基が結合したアルキルベンゼンに(12)を作用させたあと、水酸化ナトリウム水溶液を加えればアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムが得られる。この物質は(13)として利用されており、その水溶液が(14)を示す。

  1. グリセリン
  2. 不飽和脂肪酸
  3. 飽和脂肪酸
  4. ステアリン酸
  5. エステル
  6. 大き
  7. 親油基
  8. 親水基
  9. (弱)塩基
  10. 濃硫酸
  11. 合成洗剤
  12. 中性

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