理論化学

気体・液体間の状態変化について

投稿日:8月 8, 2020 更新日:

今回は気体の圧力、気液平衡、蒸気圧、沸騰、状態図について解説するにゃ。

・気体の圧力とは?

熱運動している気体はあらゆる方向に移動しています。この気体がある容器に入っていると容器の壁に衝突します。この衝突するときに気体は壁を押す力ができます。この力が気体の圧力です。この圧力の大きさは熱運動している気体分子の速さが大きいほどおよび一定時間に壁などに衝突する分子の数が大きいほど気体の圧力は大きくなります。

具体的に圧力は単位面積あたりに働く力と定義されています。単位はパスカル[Pa](国際単位系SI)です。1Paは1m2あたり1N(ニュートン)の力が働いた圧力です。1Pa=1N÷m2と覚えましょう。

みなさん大気圧ということばを転記のニュースか何かで聞いたことがあると思います。海面上での大気圧の平均値は1.013×105Paでこれがいわゆる1気圧というものです。1atmと表現する場合もあります。

1.013×105Pa=1013hPa=1atm

・蒸気圧と気液平衡とは?

まず気液平衡から説明します。気液平衡とは見かけ上は蒸発も凝縮もおこっていない飽和状態のことです。なぜこの状態になるのか?ある容器に液体をいれて密閉し一定温度に保ちます。すると最初は蒸発する分子の数が凝縮する分子の数より多いですが蒸気する分子の数が増えると凝縮する分子の数も増えるようになりしだいに蒸発する速度と凝縮する速度が等しくなります。これが気液平衡です。液体中の分子の一部は周囲の分子との間に働く引力に勝ち液体の表面から飛び出すこともあれば樹期中の分子の一部が液体に移動し再び液体になることもあります。

気液平衡にあるときの蒸気の圧力をその液体の飽和蒸気圧(蒸気圧)といいます。液体の蒸気圧は物質ごとに決まっていて各種違います。温度が高いほど蒸気圧は大きいです。これは温度が高くなる=運動エネルギーも大きく変化するからです。

・沸騰とは?

沸騰は液体の蒸気圧と大気圧が等しくなったときにおこります。それはなぜか?水を例にして説明します。水は温度100℃で大気圧1.013×105Pa、蒸気圧も1.013×105Paとなり沸騰がおこります。沸騰しているとき水がぶくぶくとなっていて気泡が出てくると思います。実はこの水中の気泡は大気圧と液体の蒸気圧が等しいのでつぶれずに安定に保たれるのでぶくぶくと出てきています。気泡は正確には水蒸気です。仮に大気圧が蒸気圧より大きい場合気泡はつぶれるので沸騰はしません。沸騰は液体の内部からも蒸発が起こる状態と覚えておきましょう。

 沸騰は液体の表面からではなく内部から発生しているにゃ。

・状態図とは?

 物質が様々な温度と圧力でどのような状態をとるのかを示した図を状態図といいます。水を例にとって説明していきましょう。圧力1.013×105Paでは二つの線にあたると思います。0℃では氷が融解、100℃では水が沸騰します。この図をよく見ると低い圧力では固体から気体に直接変化するところがあります。氷が液体になることなく直接気体になる。いわゆる昇華です。また6.078×102Pa、温度0.01℃では固体、液体、気体が共存する特殊な平衡状態が存在し、これを三重点といいます。なお温度が374℃、圧力が2.208×107Pa=臨界点を超えると気体と液体の状態がわからなくなる状態が現れ超臨界状態といいます。超臨界状態にあたる物質を超臨界流体といいます。

ST:蒸気圧曲線、RT:融解曲線、CT:昇華圧曲線

・まとめ

  • 気体の圧力 気体分子が物体の衝突したときの単位面積あたりに及ぼす力1Pa=1m2/1N
  • 気液平衡 液体を密閉容器にいれたときは(蒸発する分子の数)=(凝縮する分子の数)
  • 飽和蒸気圧 液体と気体が共存し、気液平衡となったとき蒸気が示す圧力。物質により異なる値を示し高温ほど蒸気圧は高くなる。
  • 蒸気圧曲線 蒸気圧の温度変化を示したグラフ。
  • 沸騰 液面ではなく液体内部から気泡(蒸気)が発生する現象。液体の蒸気圧=外圧(大気圧)で沸騰が起こる。分子間力の低い物質ほど沸点は低くなる。また外圧が低いほど沸点は下がり、外圧が高いほど沸点は上がる。
  • 状態図 物質が温度、圧力の変化によっってどのような状態図を取るかを示した図。
  • 三重点 固体・液体・気体が共存する平衡状態。
  • 超臨界状態 気体・液体の区別がつかない状態。

演習問題

問題1.次の()にはいる言葉をあてはめよ。

密閉容器の中の液体を考えていく。(A)運動している液体分子の中で比較的大きな運動エネルギーをもった分子は(B)を振り切って液面から飛び出していく。これを(C)とよぶ。一方で容器内の空間に飛び出して気体になった分子の中で比較的小さい運動エネルギーをもった分子は、液面に衝突したときに液体分子との間の(B)によって液体中に引き戻される。単位時間に気体となって空間に飛び出す分子と液体へ戻ってくる分子の数が等しくなったとき見かけ上(C)が起こっていない状態になる。これを(D)とよぶ。またこのときの密閉空気内の気体の圧力が蒸気圧となる。

気液平衡は言葉のとおり何かが平衡状態になっているにゃ。

解答(A)熱、(B)分子間力(C)蒸発(D)気液平衡

問題2.図のように一端を閉じた充分に長いガラス管に水銀を満たすと水銀のはいった容器の上に倒立させたところ管内の水銀柱の高さは760mmとなった。このとき大気圧は何Paか?

少し難しいけど、どこの力と力がつり合っているか考えよう。

解答.一端を閉じた長いガラス管を水銀で満たし、水銀止めの中に倒立させると管内の水銀柱は約760mmの高さで止まります。これは水銀柱の重力による圧力と大気圧が等しくなるからです。よって1.013×105Paとなります。

1.013×105Pa=1atm=760nnHg

1mmの水銀柱の示す圧力を1mmHg(ミリメートル水銀柱)

問題3.空欄に固体、液体、固体かのどれかをいれよ。

3-1液体の水を加熱すると沸騰して水蒸気になるこの現象は(1)から(2)への変化である。

3-2インスタントコーヒーはフリーズドライという方法で製造することが多い、これはコーヒーの成分を水で抽出したあとの凍結させ減圧下で氷を昇華させて水分を取り除く方法である。昇華を用いる方法は(3)から(4)への変化である。

状態変化に関する問題だにゃ。

解答(1)液体(2)気体(3)固体(4)気体

-理論化学

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


関連記事

no image

溶解度(飽和溶液・再結晶)計算問題

今回は飽和溶液と再結晶に関する計算問題を解説していくにゃ。ちなみに少し復習すると飽和溶液が溶解度まで溶質をとかした溶液のことで再結晶が溶解度の温度の違いなどを利用して、固体物質を精製することだにゃ。問 …

化学平衡

今回は化学平衡について解説するにゃ。平衡とは反応前と反応後の物質濃度がある比率になったところで止まることをいうにゃ。 目次化学平衡とは?平衡定数とは?平衡移動の原理とは?まとめ ・化学平衡とは? 化学 …

理想気体、実在気体について

目次理想気体、実在気体とは?両者の違いとは?実在気体を理想気体に近づける条件とは?まとめ演習問題 PV=nRTの式は理想気体の状態方程式だにゃ。今回は理想気体と実在気体の違いを中心に解説していくにゃ。 …

反応熱と熱化学方程式

今回は熱化学の分野について解説するにゃ。化学反応には熱を放出したり、あるいは熱を吸収する反応があるにゃ。その反応の様子を数値であらわしたものが熱化学方程式だにゃ。 目次熱化学方程式とは?様々な反応熱に …

コロイド溶液について

今回はコロイド溶液について解説するにゃ。この分野は気楽な気持ちで臨んでも大丈夫だにゃ。 目次コロイド粒子とは?コロイドの沈殿について?コロイド溶液の性質とは?コロイドの分類?まとめ ・コロイド粒子とは …

管理人について


怠け者からの脱却

こんにちは!このブログを運営する者です。現在某国立地方大学大学院修士2年生です。工学研究科に属していて主に化学を中心に学んでいます。このサイトでは化学と関わりのある内容を投稿していきます。

所持資格↓

危険物取扱免状(甲種)、公害防止管理者水質第一種